「干菓子のあられのような紫紅色の可憐な蕾をいっぱいにつけた(蘇芳の)枝は艶にやさしかった」瀬戸内寂聴『花冷え』蘇芳(すおう)は古来より受け継がれる日本色のひとつで、最高級とされた紫に次ぐ上位を示す色です。渋く深い赤色は木の芯に含まれる赤い色素が染料ですが、蘇芳は元来インドやマレーシアなどの熱帯に分布する植物なため、日本では育てることができず、よって多くの蘇芳は奈良時代から輸入に頼っていたようです。このことからも日本の色が必ずしも国産ではなく、海の向こうからやってきた原料から生み出されていた事がわかります。これも美しさを求める日本人の探究心、美意識がもたらした賜物と言えるでしょう。さて花に見るその色は赤というより紫紅。花はハナズオウと呼ばれます。直立する枝を小さな蕾が柔らかに包み、まるで枝全体が一つの花であるかのよう。そろそろ咲いてくるかしら。花色も徐々に春から初夏へと向かいます。今日もいちりんあなたにどうぞ。ハナズオウ 花言葉「目覚め」

「干菓子のあられのような紫紅色の可憐な蕾をいっぱいにつけた(蘇芳の)枝は艶にやさしかった」瀬戸内寂聴『花冷え』蘇芳(すおう)は古来より受け継がれる日本色のひとつで、最高級とされた紫に次ぐ上位を示す色です。渋く深い赤色は木...