佐藤春夫 「秋刀魚の歌」

遠くの雲に夏をおいて秋は始まり、いま仲秋。花もうつくしけれどやはり食欲の秋、秋刀魚の季節です。夕暮れの茜に町が照り映える刻、秋刀魚焼く煙と脂が燃える匂いに気づくなり、たちまち家路を急ぎたくなるのは今も昔も同じでしょうか。...