神様は秋雲の向こうに

FA067_L.jpg10月は神無月(かんなづき)神様が居なくなる月とのこと。この月は全国各地の神々が出雲に一同に会し、各地から神様が居なくなるといわれています。そんないわれから、出雲地方に限っては「神在月」と言われていました。

ますます夕暮れが早く訪れる10月。なんとなく物足りなさを覚えながらの家路は、遊び足りないままに友達と別れた幼少の頃のそれと重なります。そう、西日の向こうに伸びた影絵のように。

この暮れゆく夕焼けに、何ともいえない切ないきもち、郷愁を感じるのは、実は日本人だけなのだそうです。高くなった空のなかで、太陽の赤が雲交じりにオレンジへピンクへ紫へと変わる秋模様。一日でもながく、この空に包まれていたいと思うのも、日本人だけなのでしょうか。

さびしさはその色としもなかりけり。槇立つ山の秋の夕暮  寂蓮