鈴なりな秋に心躍る

DJ173_L.jpg秋が深まるほどに、赤や橙に色を染めた実が鈴なりに色を付けます。野イバラ、ローズヒップ、つるうめもどき、からすうり、真弓、がまずみ、紫式部。

初秋のころ、まだ地味で平凡だった花や実も、気温が下がるにつれ、熟すほどに大人び、色っぽく変身していきます。つぶらな形、こっくりとした色。秋に彩る植物は、自ら熟し朽ちるその時まで、美しく生命の豊かを全うするのです。

秋は地味な枯草や枯枝でさえ、その素朴な色に着目するだけでアートに映るから不思議です。一見ゴミにしか見えないような欠けた器も、外に放ったままの錆朽ちた器も、手折った草花を活けてみます。できれば花は艶やかに。器のそばに枯葉を敷き詰めたり、奔放に蔓を絡ませれば野趣な花あそびも立派な作品になって完成。

秋の花活けにお手前なんて必要なし。なぜなら花は昔からこうして心の赴くままに、庭の花を摘み、食卓に飾り、人に贈るなどして、日常の中で愛されてきたのですから。