クチナシ 花言葉「私は幸せもの」

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すんだことを誘う花があります。あまりよい思い出ではないのに、その匂いは鼻腔のむこうにまだあって、甘い匂いほどに苦みがあって、呼ぶまでもなしにそれが胸のあたりまでおりてきて、また思い出させます。梔子の花がそれでした。子どもの頃、来客を待つ昼下がり、やや不機嫌であった母が、庭のそれを玄関の一輪挿しに置くなりに、あの重く甘ったるい匂いが家中に充満するのです。悪くはないのですが、普段しもしないその儀式が、母の機嫌も相まって子供には余計にけだるく、以来どうにも好めない花だったのです。それが今こそ、これほどに母を想う花はなく、胸に下りてきた匂いを、ギュッと手放したくない想いにかられるのでした。季節はずれのクチナシに。
何だかなつかしうなるくちなしさいて 種田山頭火
クチナシ 花言葉「私は幸せもの」