山のあなたの空遠く

20150715142854-146f91a814b43eba18f355e27f7b828e987368d0.jpg サルスベリ 花言葉「あなたを信じる」

稀代の万葉学者である中西進氏の著書の中に「さいわい」という言葉にふれた一節があります。

「さいわい」の古語は「さきわい」で、この「さき」のもとは花が咲くの「さく」だといい、更にこの言葉をひもとくと、古く日本人は、花が咲き満ちた状態を目に浮かべて、それを「さいわい」と表現し、これが古来、日本人の幸福観の証だったと書かれています。

いわく「心の中に、いっぱいの花が咲きあふれているように感じること」が、古代の日本人にとっては「幸福」だったと。私たちにとって「幸福」「さいわい」とはなんでしょうか。

山のあなた カール・ブッセ 上田敏訳 『海潮音』より

山のあなたの空遠く 幸(さいわい)住むと人のいふ。
ああ、われひとと尋(と)めゆきて、涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く 幸(さいはひ)住むと人のいふ。

「Über den Bergen」 Karl Busse

Über den Bergen weit zu wandern
Sagen die Leute, wohnt das Glück.      
Ach, und ich ging im Schwarme der andern, 
kam mit verweinten Augen zurück.
Über den Bergen weti weti drüben,
Sagen die Leute, wohnt das Glück.