花は散ってもなお花

 

風姿花伝 (ふうしかでん) は、世阿弥が記した能の理論書。世阿弥の残した21種の伝書のうち最初の作品とされています。多くの導きある言葉が残されている中で、どんな花でもいつかは散るもの。散るからこそ、また咲く時節がやってきて、新鮮さが生じるのです、と世阿弥は書き残しています。そう花は散ってもなお花。色褪せた終焉さえも、その風姿は美しいばかり。

 

いづれの花か散らで残るべき。散る故によりて、咲く頃あれば珍しきなり。 世阿弥「風姿花伝」