ビゼー組曲『アルルの女』より「フェデリコの嘆き」

 
 
 
それは羊飼いのいつもの話だ。あわれな若者は、
それを話したがり、そして眠りにおちてしまう。
眠って、それを忘れてしまうんだ。何て羨ましい。
 
俺だって、そんな風に眠りたい、そして眠りの中で、せめて忘れたい。
 
俺はただ心の平和を得たいだけなのに。
すべてを忘れることができたら・・・だが、俺の努力は無駄だった。
 
あの人のやさしい面影がいつも俺の眼の前に現われ、
俺にはほんの束の間の平和があるだけ。
 
何故、俺はそんなに苦しまなければならないのか?
あの人は、いつもあの人は、俺の心に語りかける。
 
宿命の幻よ、離れてくれ。ああそうさ、
 
お前はそうやって俺に多くの不幸をもたらす。
 
 
ビゼー組曲『アルルの女』より「フェデリコの嘆き」
 
 黄色バラ 花言葉「嫉妬」