蘭の花

絢爛に華やぐ蘭の花。その花のかたちはどの花も左右対称。シンメトリーです。

人間は自身の体に正対称を持ちません。しかし花や葉など自然界を観察すると、実は多くの「シンメトリー(正対称)」が存在することに気が付きます。

シンメトリーは古代からの美術における様式美としても、憧れの創造美でした。その構成は常に等しいかたち、色、間隔でなりたち、与える印象はシンプル、明確、不変。

そんな厳格で静的なシンメトリーの印象に相反し、アシンメトリー(非対称)は動的・リズミカルです。

さてシンビジュームなど、洋ランの多くは熱帯原産が多く、日本には明治以降に伝わったとされます。対しえびねなどの東洋ランの多くが中国から持ち込まれた園芸品種で、鎌倉時代から鑑賞されてきました。東洋ランにも春蘭・秋蘭・寒蘭とありますが、実は「蘭」は秋の季語。秋の七草「藤袴」を蘭と呼んだことに由来するそうです。中国名でも蘭草というようですね。

御祝い品として人気の胡蝶蘭。その気品ある崇高な容姿。花言葉は「幸せの飛来」です。静かに佇む花の印象そのものに、きっとこの花はいつでも傍で誰もの幸せを願っているのだと思います。