10月

「日本人は木の葉も花と見る」と、昔ある西洋人がいったといいます。本来もみじは「もみいづる」ことで、燃えいずる様子をいったもの。秋の日差しを受けて、残光に燃え立...

杜鵑（ほととぎす）は春の終わりに南から渡り、晩夏にまた南にかえって行く渡り鳥。同じ名をもつこの花は、初夏から秋にかけてさく山野草です。ホトトギスのおなかの模様...

生花には生花のよさがあります。命あるものの息づかいを傍に、季節を感じ、時を懐かしむ。造花は生花にない可能性を広げてくれます。いつでも側で見守ってくれる安心、煩...

今朝の東京は台風一過、まさに碧落一洗の青空となりました。夜のうちに去ってくれた嵐にホッとしています。実はいい歳をして、夜の嵐とカミナリばかりが今も恐怖で、どど...

男性的でおおらかな万葉集にたいし、女性的で匂やかな歌風の古今和歌集。「やまとうたは人の心を種として...」ではじまる紀貫之の仮名序には「和歌は人の心を種とし、...

すんだことを誘う花があります。あまりよい思い出ではないのに、その匂いは鼻腔のむこうにまだあって、甘い匂いほどに苦みがあって、呼ぶまでもなしにそれが胸のあたりま...

秋は月。昨晩の月もそれは美しい月でした。秋の月は白磁のように清らかで、それが満月でなくとも夜空に放つ光は充分であるし、あれをみれば、どこか満ち足りない気分であ...

この花の首筋をみて夢二を思いだした次第。それにしてもダリアは、なんて見返り美人な花だと思う。このうなじといい。美人画で有名な日本画家、竹久夢二、明治生まれ、...

りんどう、桔梗、トリカブト。秋を深める青い花が旬を迎えていますね。秋の青は、つこんと抜ける空の青とはまた違う、もっと深く感じ入る、もっと胆に染みいるような色...

バラを語りましょう。アラブ人は、マホメットの額から落ちた一滴の汗から、この世の最初のバラが生まれたと信じ、ペルシャの詩人は、花々がアラーの神に新しい君主を求め...