つめくさの花

つめくさの花の 咲く晩に
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒を呑まずに 水を呑む
そんなやつらが でかけて来ると
ポランの広場も 朝になる
ポランの広場も 白ぱっくれる。宮沢賢治『ポランの広場』より
幼少の頃に、クローバーの四つ葉を見つけに探した、思い出がある人は多いと思います。花はツメクサと呼ばれますが、この名の由来が「詰める草」だと知ったのは、大人になってからのことです。
それは江戸時代に、オランダからガラスの器具などが運ばれてくるとき、ガラスが壊れないようにと、今でいうパッキン代わりにこの枯れ草を詰めたのだそうで、まさに「詰める草」であったことから「ツメクサ」と名が付いたのだそう。
そんな使われ方をしていたくらいだから、当時は辺り一面に、ツメクサが自生していたのでしょうね。
ちなみに「ツメクサ」という植物はもう一種あります。そちらは「爪草」と書き、細長い葉が鳥の爪に似てるからだそうです。

いずれも雑草と呼ばれる類ですが、しかし近くに寄れば、こんなに可愛い花だったのかと、見つけるたびに新鮮な気持ちに満たされます。最近は、もっぱら道端の花と野菜の花が、可愛くてかわいくて。そんな自分の関心に、歳を重ねたものだなと、思うこの頃です。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
シロツメクサ 花言葉「約束」

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2002年創業 フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」する仕事です。
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。