ポインセチア

あらゆる良き贈り物をたもう神よ、この贈り物をおくり受ける季節に、イエスが「受けるよりも与える方がさいわいである」と語られたことを覚えさせたまえ。
イギリスの動物学者デズモンド・モリスの著書に、クリスマスをめぐる謎について書かれた『クリスマス・ウォッチング』という一冊があります。その中にはじめて目にしたポインセチアの伝説がありました。
あるクリスマスの夜、貧しい農家の子供たちはイエスの誕生を祝う贈りものがないために、教会の戸口にたたずみ、お祝いに出向く人々を眺めていました。その様子を見ていた天使から「贈り物がないなら、道端にあるあの美しい草を持っていくといい」といわれたので、子どもたちはその草を手折り教会に持っていきます。
ところが人々に「ただの雑草を持ってくるなんて」と笑われてしまい、決まりの悪くなった子供たちは思わず頬を赤らめました。するとその赤い色が草に映り、雑草はたちまち美しい花に。嘲笑した人々は自分たちの振る舞いを恥じるとともに、目にした奇跡に驚き、以来ポインセチアは「聖夜の花」として知られるようになった、というお話です。
ポインセチアの燃えるような深紅色が、小さな子供が赤らめた頬の色だったとは興味深く、調べてみるとほかにも似たような伝聞があることも知りました。
このように、花にはさまざまな伝説やエピソードがありますが、国や歴史による違いはあるものの、人間に共通する言葉や印象、影響力もあると思います。たとえば、この花が誰にとってもクリスマスの象徴であるように。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ポインセチア 花言葉「幸運を祈る」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。