6月
尾崎放哉◎クチナシ
古くから、口に出せない思いをこの花の名に重ねて、多く歌に歌われてきたくちなしの花。染め出される赤みを帯びた鮮やかな黄色は「言わぬ色」ともよばれます。六月の湿った薄月夜、つっぷりと浮き立つ白い花弁と、甘く漂う馥郁たる香り。あれで誘う気がないというなら、いったいなんだというのだろう。今日もいちりんあなたにどうぞ。
宵のくちなしの花を嗅いで君に見せる
尾崎放哉
クチナシ 花言葉「とても幸せ」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。