5月
紫陽花(あじさい)を胸に咲かせて庭持たず

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紫陽花(あじさい)を胸に咲かせて庭持たず
鈴木真砂女
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千葉の老舗旅館の娘として生まれ、2度の結婚と離婚を経て、51歳で銀座に小料理屋を開き、店の女将と俳人という二つの道を生きた鈴木真砂女。
そんな真砂女の句には、料理屋の女将という側面においては、旬の魚や野菜を登場させる句がある一方、40年にわたる不遇の恋愛が、いかに彼女を支えたかを知るに足る句が多いのも特徴です。
庭が持てない東京暮らしは、彼女の小さく華奢な体には相応だったかもしれません。しかしその恋心は、胸に咲かせた紫陽花の様に日を追うごとに色を成し、身体を埋め尽くさんばかりに咲き誇った。
そんなことを思うと、この句にある「庭もたず」には悲哀などなく、慎ましいどころかむしろ、生涯96歳まで咲ききった彼女の生きざまを見るようで、清々しい気持ちにさせられるのです。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
アジサイ 花言葉「辛抱強い愛」
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