木枯らし吹きました

冬の訪れに合わせて、木枯らしも吹きました。
まるで暦と花と風とが、せえの、と息を合わせたかのような到来。
昨日、サザンカは黙って咲くと書きましたけれど、木枯らしは歩く後ろから、からからと音を鳴らしてついてきます。まだ急かすのか、というくらい、呆れるほどにせっかちです。
その音は、風に舞う落ち葉がすがるように付いてくるからで、こうして木枯らしが吹きわたり、木々の葉を散らし尽くせば、世の中はいよいよ冬の姿になります。
その夜にふく北風は、いつも刺すほどに冷たいばかりで嫌だけど、明るい時間であれば、なんだか憑き物さえ払ってくれるような清さがあります。身が引き締まる思い、ですから悪いばかりでもなくて「なんなら負けないぞ」って思うほど。
すると見やれば、きびしい冬にも生き生きと、葉団扇ひろげる八つ手の花。「なんなら払ってやるぞ」と言われたように見えました。
こっちだって負けないぞ。今日もいちりんあなたにどうぞ。
八つ手の花 花言葉「親しみ」

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。
「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。