10月
桂秋(けいしゅう)

木犀の匂かくれぬ日和かな 草城
風にのるキンモクセイの匂いに気づきました。どこから漂ってくるのか、見渡しても分からなかったですが、たしかにあの香り。
木犀の咲く秋を「桂秋」といい、昨日は確かにその秋が訪れたことを知りました。あの小さな花のどこに、あんな強い香りを秘めているのか、本当に不思議なばかりです。
秋を代表する木犀は、秋の象徴である月にも咲くそうで、あの月色は、月にある桂花の巨木が花をつけて、黄金色に染めているのだとか。中国からの伝説ですが、なんとも目に浮かんできませんか。
温暖湿潤な秋、澄みきった空に香る木犀を探すのも楽しいですが、しっとりと濡れる月の光を眺めながら、月面に咲くモクセイの花色を想像してみるのもまた、いいですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
キンモクセイ 花言葉「陶酔」

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。