ダリア

ダリヤ咲く疑多くかげ多き
心と云へるものの形に
与謝野晶子夏深き 地のなやみか誘惑か
朝日かなしもダーリアの咲く
若山牧水かなしさは日光のもとダアリヤの
紅色ふかくくろぐろと咲く
斎藤茂吉
俳句でダリアは夏の季語。短歌にも、梅雨に詠った歌がありました。このように本来は夏の花、昼夜の気温の差がでてくる晩夏から初秋にかけて、見ごろを迎える花ですが、近年の日本は夏があまりに暑すぎるため、本格的な花の盛りは、仲秋10月ごろに迎えるようです。
ダリアはメキシコ原産の花。昔からヨーロッパをはじめとして改良が盛んにおこなわれてきた花で、今でもさまざまな品種があり目を楽しませてくれます。日本では秋田のダリアが知られるところ、その美しさは花の華麗を極めます。
さて、先に紹介した短歌ですが、見ればどれも心の陰りや哀しみがうつし出されており、いったいこの花のどこを見て、そんな心境になったのかと、興味を深めました。以前にご紹介した北原白秋の歌も、愛人との別れのシーンで、ダリアの花を詠ってましたし。
色や形にもよるでしょうけれど、そんなに哀愁を誘う花かしら。どちらかというと謎を深める花に映ります。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
ダリア 花言葉「気品」

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。