6月
むらさきの微笑

やっと梅雨に入ったとおもえば、あと一週間で六月も終わり。
この月のうちにもう一度、あじさいの花に触れておきたいと思いまして。
これは昔、小学校の教科書に載っていた詩だそうです。こんな大人びた目線で花を見る人の情緒を、当時の小学生がどのように受け止めていたのか、その感想に触れてみたくなりました。美しい詩ですね。六月の夜にぴったり。今日もいちりんあなたにどうぞ。
アジサイ 花言葉「移り気」
あじさい
三越左千夫心のうるむうつろいを
また よしともおもう
銀の雨にむらさきはぬれて
優しくうなずくあじさいの花花の中にありようもない
燃える眼差しをさがして
罪の淵へふみはずしそうな
熱い恐れのときめきときめきを鎮めると
静かに胸にかえる安堵
その 安堵の奥からまた
眼をさましてくるうつろい夢見る心のうつろいを
また よしともおもう
昨日今日情炎のしずくをこぼす
あじさいのむらさきの微笑

Text
2002年創業 フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」する仕事です。
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。