5月
山の花

魂が必要としているものを購入するのに
金銭など必要ないのである。
– ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
昨日のこと、緑したたる新樹の青さに包まれながら、山道を車で走り抜けていると、ぱっと目に飛び込む花が何度もあり、よく見ると、それはライラックの花でした。
寒い場所を好むというから、なるほどこんな標高の上がった土地を自ずと選んだのだろう。それにしてもあんな誘惑の色をして、人の手に届かぬ車道の脇で、香りも届かせずに、これ見よがしに咲いているとは、なんてにくい花だろう。
なんて思いながら、翌日からの繁忙、その英気を養う花に出会えたのは良かったなと、
そういえば、ドイツにいたころも、心を整えたくなると山へいき、森に包まれ、花を探して歩いたことを、懐かしく思い出しました。
とりとめもない散文ですが、これにて。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
ライラック 花言葉「思い出」

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フラワーギフト専門店 「Hanaimo」 店主
普段はお祝いやお悔やみに贈る花、ビジネスシーンで贈る花の全国発送をしている、花屋の店主です。「あなたの想いを花でかたちに」するのが仕事です。since2002
https://www.hanaimo.com/
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。