3月
浜辺の花

浜菊に海嘯(つなみ)は古き語り草
富安風生
吹きさらす海風にも負けず、海岸や岩場に咲く花に浜菊(ハマギク)があります。
その名にもあるように、浜辺や断崖に根を張る花で、潮風に耐えながらも、白い可愛い花を咲かせます。日本固有の野生菊です。
マーガレットにも似た楚々とした花は愛らしく、故になぜ、あんな険しい場所を選んで咲くのか、花の気持ちが知りたくなります。見つめる先に、海の向こうに、誰か待つ人でもあるのかしら、なんて思ったり。
今日この日は、ゆっくりと離れていく記憶、淡色になっていく思い出を振り返りながら、ささやかな「生きる」を続けるために、できることは何かしら、と考えました。
そこで思い出した花たちも、湾を眺めては何か考えて咲いてたのだろう、と、思った今日。
きっと花にとって、大切な事を思い出し向き合うには、海がのぞめる浜辺の景色が、丁度よかったのかも知れませんね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ハマギク 花言葉「逆境に立ち向かう」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。