2月
沈丁花

そぞろにも知らぬ世界の匂ひする
臙脂の色の沈丁花かな
与謝野晶子
はやいもので今日で2月も終わり。その晦日を待たず、早々に近所の沈丁花が見ごろを迎えました。薄紅色をした薬玉みたいな可愛い花は、夜闇の中でも、近くにいるとわかるほど強い香りを放っています。
今冬は暖かい日が続いた事もあり、春寒ゆるむと同時に蕾がほころびましたが、あれは梅に対する負けん気だったのかしら。というのも、たしか記憶の中で咲く沈丁花は、三月の終わりに満開だったように思うのです。
花期が長い花とはいえ、やはり少しずつ、時期は早まっている様子。ほんとうに、日本から春が無くならないことを願うばかりです。
ということで明日から3月。次はいよいよ桜ですね。春は真ん中にいるのも楽しいけれど、盛りをむかえるまでの、この待つ間も好きです。よい3月になりますように。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ジンチョウゲ 花言葉「永遠」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。