2月
冴え返る

冴返る二三日あり沈丁花
-高野素十
昨日の春一番とは一転、朝から冷たい北風が吹き荒んだ東京。ようやく緩んだと思った寒さが、またぶり返しました。冴え返るとはまさにこのこと。そちらはいかがでしたでしょうか。
しかしもこの一週間で、関東の各地でも梅は満開に、河津桜も見ごろを迎えたとの知らせも届きました。ながらく蕾を閉ざしていた近所の沈丁花も、いよいよ咲いてよいか、今かまだかと、待ちきれんばかりの様子です。通常、沈丁花の花が咲くのは4月頃ですから、花の様子を見ていると、まるで胸の高鳴りは抑えても、嬉しさがこみ上げて顔に出てしまう、小さな子供のようにも見えます。
しずかに始まった2月も、瞬く間に半ばを過ぎました。日脚は日毎に伸びて、冬ごもりしていた気持ちからも、ようやく放たれてきた感がします。今日の風のように、ときには冬の名残りを頬にうけ、三寒四温をこえていけば待ちに待った春はもうすぐ。待ち遠しいこの頃です。今日もいちりんあなたにどうぞ。
じんちょうげ 花言葉「永遠」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。