2月
三椏(みつまた)

春されば まず三枝の 幸くあれば 後にも逢む な恋ひそ吾妹
柿本人麻呂
春になれば咲く三枝(さきくさ)の花のように、何もなく幸せ無事であったなら、またいつでも逢えますよ。だからそんなに恋しがらないでください、愛しい人よ。
この季節に咲きはじめる花木のひとつにミツマタがあります。三つ叉(また)に分かれた枝の先に、黄色い花を咲かせるので「ミツマタ」ですが、春を告げるかのように、他の花より一足先に花を咲かせることから、昔は「先草(サキクサ)」とも呼ばれたそうです。またそれを、縁起の良い兆候であると捉えて「幸草(サキクサ)」とも書いたとか。
上記の歌にあるように、万葉の時代にも、ミツマタは「さきくさ」と呼ばれました。ほかの花より先んじて咲くこの花のように、お互いに元気でいれば、きっとまた会えますよ。ですって。早く会いたいですね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ミツマタ 花言葉「意外な思い」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。