1月
花笑み

起きてみて、
また直ぐ寝たくなる時の
力なき眼に愛でしチユリップ!
石川啄木
昨晩の凍てつく風に身をちぢめ、降るか、と待ちかまえていた雪はどちらへ。今朝の空気もきんと冷えていますが、東京は青空です。
チューリップを飾りました。すごいですよね、この花を飾るだけで、寝ぼけ眼も覚めますし、ぽぽんと心が弾むのです。
チューリップといえば何色を思いますか。啄木の眺めたチューリップは赤色だったようです。ピンク色も可愛いですね。やわらかな光をうけたその花は、早春の冷たい空気をほどいて、また春を一歩こちらへ連れてきます。
黄色もいいですね。冬のあいだ探していた温かみを、お先にと分けてくれるし、寒さにふさいだ気持ちでいても、関せずあははと笑ってくれます。
無邪気な花です。花笑みって、こんな笑顔をいうのでしょうね。人も空気も包み込む、やさしい花。チューリップは笑う花。嬉しい気持ちになる花です。今日もいちりんあなたにどうぞ。
チューリップ 花言葉「思いやり」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。