1月
春を告げる

人に見つけてもらえるなんて待ってない。なんて事は無いだろう。
花の所在に気づくなり、そんな気持ちにさせるのは、どの花よりも先立って香りを届ける梅の花。春告草とも呼ばれます。
古木から差し伸べられた枝先に、ちょんとついた小花は、一目には清廉と見えます。人も清らか一辺にしか語りません。
しかしこちらが見つけるなりに、香りばかりじゃないわよと居るを放つ。侮れない花だなあと眺めるわけです。
そんなしたたかな花ですが、これからは梅が一輪ほころぶたびに春は寄り、こうして花が詰まっていくのを見るのも、あとの盛りを見上げるより風情があっていいものです。
と、思える歳になりました。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ウメ 花言葉「高潔」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。