1月
寒の入り唇すぼむ椿かな 小寒

寒の入り唇すぼむ椿かな 咲於
冬至から数えて15日目の小寒から立春前日までの一か月を「寒」と言い、この期間に入ることを「寒の入り」と言います。今年は今日が小寒、ということで1年で一番寒い時期になりました。ことこの新年においては、北陸の方々の傍にある暖が絶たれないことを、心より願うばかりです。
ちかくの神社に出向きましたら、冬枯れの庭にぽつぽつと椿が咲きはじめました。冬を知らせたのは山茶花、春を告げるのは梅、椿はその合間に咲く花、閉ざした冬をひらく花です。木篇に春と書く花なので春ひらく、といいたいところですが、そこはほかに任せたい。なぜなら冬のほうが似合うから。
この花の、重い雪をかぶっても頑なに落ちない蕾、花にも劣らぬ艶やかな葉には、椿5000年の意地と意思を感じます。そんなめげない花には声もあり、負けまい負けまいと聞こえてくる。だからこちらも、負けるな負けるなと声にする。
負けまい負けまい、負けるな負けるな。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ツバキ 花言葉「誇り」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。