1月
女の正月

1月15日は「小正月」。元日の「大正月」に対してこう呼びます。昔はここまでが松の内だったらしく、その間休みなく働いていた女たちが、やっと足袋を脱いで休めることから「女正月」とも言うようになりました。
とはいえ、この日はまだ小豆粥を煮る仕事があるわけです。正月、七草、鏡開き、小豆粥。座っている暇なんてない。そんなことから「女の正月二十日過ぎ」ともいいました。本当に、昔の女の人はよくよく仕事をしたんです。
けれど女の人の忙しさは、愛情をつめる忙しさです。正月のお重をつめるもそうですし、粥や小豆を煮つめるもそうですし、人と睦まじくして、互いの距離をつめるもそうでしょう。花を立てるときにも、茎と葉とを清潔にし、息をつめて真っすぐたてます。そこに愛情がなければ折れるのです。
いま時は、男、女、なんていったら叱られますが、季節を表す言葉には、こうした表現もありました。と、思い出すときくらいは許してほしい。と思います。今日もいちりんあなたにどうぞ。
スイセン 花言葉「心づかい」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。