10月
柘榴

ご近所に、今年も柘榴(ザクロ)がなりました。梅雨の頃に咲いた花は、夏になって実を結び、秋になるとこんなに赤く熟れてきます。
それが弾けると、中にはルビーのような粒がつまってい、それも美しいけれど、この秋の透明な空気の中で磨かれた肌艶と色彩だって、人の眼を捉えんなんてありません。
しかしながら、ここまでの期間の沈黙に、気付かなかったことにも驚きます。知らぬ間にだんまりと大きくなり、じんわり色を成し、より丸く、よりぱっちりと、気づけばまるで娘の盛りです。

柘榴は栽培の歴史も古く、諸外国において、ブドウやイチジクと並び「豊かさの象徴」とされてきました。また「さんかんの実」といえば、桃は人間関係・恋愛、橘は健康・金運、柘榴は子宝・旅の運をもたらすとされる縁起ものです。
旅がいいなあと眺めました。また旅に出て、土地の人のやさしさに大きさに、豊かな時間に出会いたい。そしていつか、あなたにも。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ザクロ 花言葉「円熟した優雅さ」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。