10月
ピラカンサ

赤い鳥小鳥なぜなぜ赤い
赤い実をたべた
『赤い鳥小鳥』北原白秋
秋は平凡なことほど嬉しい季節。木々の葉が色を詰めていく様や、花がひとひら欠けてるのを見つけた時や、虫食い葉も、まあるい実も。その赤も、みんな嬉しい。
この季節になると、よくよく見かけるピラカンサ。トキワサンザシ( 常盤山櫨)と呼ばれることもあります。
ピラカンサの艶やかな赤色は、鳥たちに自分達の存在を知らせ、またその命のしるべを託すことで、次の季節へ生命をつなぐ、植物なりの知恵なんだと聞きました。
別天地へ運ばれることを期待して待っている、と知れば、鳥についばまれてるのを見ても穏やかね。鳥さんこちら、実のなるほうへ、そんな気持ちです。
さて。夏からの道のりを踏みしめて歩くも、気がつけば10月も最終。あっというまに一日が過ぎ、あっというまに一週間が終わり、ひと月も半年も越えて、あと二か月、まもなく一年を結ぶ季節の隣りまできました。
瞬く間に過ぎてゆきますが、こうやって、花が咲いて、実がなって、見つけたものを、こんな平凡を、伝えたくなる人がいるって幸せです。いつもありがとうございます。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ピラカンサ 花言葉「美しさはあなたの魅力」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。