12月
「一升マスの中の牡丹、なあに」
「一升マスの中の牡丹、なあに」
古い謎なぞです。答えは「桐火桶の中の炭火」。くわっと開いた炭火をみて、満開の牡丹の花を思い出し、その美しさにたとえた言葉あそびです。炭火ひとつをとっても、はじめは小さな命を育てるように静かに火種を育てたり、ぱちぱち勢いある炭ならば、その機嫌を気にして寄り添う、日本人。火種が生き生きとした花にみえてきたり、のちに灯を消したあとの灰から見える、薄明かりの美しさを分かち合ったりする。それも日本人。こうして、することにもあるものにも、自然現象への敬虔な思いを馳せる日本人の感性は、素直に喜ぶべきものですし、心から尊く思います。日本人でよかったな。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ボタン 花言葉「恥じらい」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。