慈姑
皆さま明けましておめでとうございます。
新年三日、ゆっくりお過ごしでしょうか(^-^)
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一年の計は元旦にあり、と言いますように、年の初めには、去年を顧みて今年の目標を胸にし、その実現を心に誓います。正月気分が薄れぬうちに今年の抱負を、と考えましたがさては後にして、新年の一投は慈姑(くわい)を。
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一根に十二子を生じることから、中国では「子孫繁栄」を意味し、日本では「芽がでる」縁起物とされる慈姑。透徹した冷たさをまとったような冴えた磁色は美しく、まるで正月の虔ましさが色になったようで、暮れの頃から魅入っておりました。
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落つる葉さえも花と見るのは、日本人独特の感性だと言った人がいたそうですが、花ばかりでなく、野菜も植物であり、慈姑のような地下茎も、根も葉もその一部であるとすれば、植物にはまだ見ぬ、知られぬ美しさが、いくらでもあるのだろうと胸がおどります。
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その探求も近年の楽しみのひとつであり、見つけるたびに、ここでお伝えできることも嬉しく、もしそれをみて、何かを感じたり考える人がいてくれたら、伝える意味もあると思っております。
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あらためて、自分のすべての時間は伝えるためにあり、それが私の生きる糧なのだと思う年のはじめです。今年はより言葉を大切にし、よく耳をかたむけ、ひとの心に響く、なにかが残せたら幸いです。そして何より愉しく。本年もよろしくお願いいたします。
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クワイ 花言葉 「縁起がよい」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。