6月
忘れる
なんでこうも、あれだけ気にかけていたことを忘れるかと、自分に対しての呆れと諦めがやまないこの頃に、随筆家の白洲正子のエピソードを思い出す。生涯多くの記述を残した白洲正子ですが、それら随筆の中で、あれほど意気盛んに事ごとへの執着を覗かせながら、実のところは取材を終えるたび、見聞きしたそれらをみな忘れてしまうのだという。故に、いつ何に出会っても、新鮮さを感じられ、無邪気な好奇心でまた、向き合うことができるから都合よい、と。いまや嘘か真か知る由もないけれど、この話を思い出しては、自分の物忘れを物書きの達人になぞらえたりし、それもどうかしていますけれど、自分も、無邪気に思い出すのは、おきた楽しいことばかりで。楽しいばかりではなかったのに、なぞらえることは、やはり楽しかったことばかりで、都合よく。今日もいちりんあなたにどうぞ。
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どんなに暗くても、星は輝く。
When it is dark enough,you can see the stars.
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アストランティア 花言葉 「星に願いを」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。