2月
春と秋、どちらが好き?
春と秋、どちらが好き? そんな問いは源氏物語にも出てきますが、万葉集に代表する歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)は、天智天皇に「春と秋どちらが趣あるか」と聞かれた際、このように応えています。
「冬が過ぎて春にもなれば、いままで鳴かなかった鳥も鳴きます。咲かなかった花も咲きます。ただ山は茂り草も深いので、好きなように花を手折ることができません。一方で秋は、山の黄葉をみるにつけ、手に取っては嬉しくなりますし、まだ青いのに落ちた葉でも、手に置き地に還してはしみじみとします。そんな一喜一憂しながら心ときめく秋山が、私は好きです。」
春を讃えて秋を選ぶあたりに、歌人の才をみる歌です。自然ひらけて輝く春と、満たし与えて育む秋。あなたはどちらが好きですか。今日もいちりんあなたにどうぞ。
冬ごもり 春さり来れば あしひきの
山にも野にも うぐひす鳴くも
シンビジューム 花言葉「飾らない心」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。