12月
カーネーション
古代イタリア、愛し合った恋人どうしが結婚式を挙げたその晩、夫オルランドは愛しい妻マルガリータをおいて戦いへと出陣します。一年後、ひとりの伝令が持ち帰ったのはオルランドがお守りとして身に着けていた妻の美しい髪の毛と、出陣の際、マルガリータが夫に贈った一輪の萎びたカーネーションでした。
悲しみにくれる中、夫の血で白から赤へ変色した花に、小さな種子が熟すのを見た妻は、夫の形見としてその種を庭に植えます。すると種は間もなく芽吹き、その花はかつて愛しい人に贈った白い花であった上に、花の中心だけが赤く染まるという、未だかつて誰もが見たことない美しい花を咲かせました。
古くから恋人の墓から生えてくる花といわれてきたカーネーション。この花が白くとも悲しみの花には映らないのは、こんな愛ある物語を持つ花ゆえなのかもしれません。愛は最上なり。今日もいちりんあなたにどうぞ。
愛は自然界の第二の太陽である
Love is Nature’s second sun. George Chapman-
カーネーション 花言葉「深い愛」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。