6月
サクラソウ 花言葉「あこがれ」

この花、なんという名前だろう?そんな「名も知らぬ」花に出会うと、ふと口ずさんでしまう歌があります。美しいこの調べ。ここにお出でになる方の中には、遠くブラジルをはじめ、ヨーロッパ、東南アジア、オーストラリアなど、日本国外にお住まいの方も多いことでしょう。日々お届けするいちりんの花で、皆様の心にある日本の風景、どうぞいつまでもそのまま胸においていただけますように。
そんな願いをこめて贈ります。今日もいちりんあなたにどうぞ。
名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実ひとつ
故郷(ふるさと)の岸を離れて
汝(なれ)はそも波に幾月
名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実ひとつ
故郷(ふるさと)の岸を離れて
汝(なれ)はそも波に幾月
もとの樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる
われもまた渚を枕
ひとりみの浮寢の旅ぞ
実をとりて胸にあつれば
あらたなり流離のうれひ
海の日の沈むを見れば
激(たぎ)り落つ異郷の涙
思ひやる八重の汐々(しほじほ)
いづれの日にか国に帰らむ
『椰子の実』島崎藤村
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。