5月
シャクヤク 花言葉「はにかみ」
緋芍薬さします毒をうけしより友のうらやむ花となりにき 晶子
あやしむなわれと火焔にやかれては姿ぞほそきひと重芍薬 晶子
仏蘭西の紅き芍薬それなども喜びとして我の目に見ゆ 晶子
どこか浮世離れした趣と、古色な渋い紅。芍薬は、キンポウゲ科の多年草。牡丹によく似ていますが、ボタンに比べると、少し小ぶりです。中国では、牡丹の次に美しい花として「花の宰相」と呼びました。シャクヤクは「草」でボタンは「木」です。冬のツバキの艶を引き継ぎ、咲き誇るこの花が、ばらりと散る頃はいよいよ夏をむかえます。
初夏にはまだ少し早いですが、一年でいちばんよい季節になりました。時折ひゅんと吹きつけるつめたい風は、ただただ肌にふれて心地好く、このまま今を留める方法がないものかと、しばし足をとめてみたり。心にとめてみたり。時も止まればいいのにと思ったり。今日もいちりんあなたにどうぞ。
時間とは、生きることそのもの。そして人の命は、心を住みかとしている。Michael Ende-
シャクヤクの花言葉「はにかみ」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。