11月
カーネーション 花言葉「あなたを愛します」

カーネーションは恋人の花。古くより、その花は恋人の墓から咲くと広く信じられており、それゆえに、今も葬儀の献花としてつかわれるのだといいます。
イタリア ロンセッコ家の家紋にはカーネーションがあしらわれており、その所以とされる伝説が今も残されています。
昔、伯爵夫人ロンセッコ・マルガリータは、愛するオルランドと結ばれた結婚式の翌日に、夫との別れを余儀なくされます。それは、オルランドが十字軍としてサセラン人に奪われたキリストの墓を奪回するために出陣するからで、そんなオルランドへ彼女は、白いカーネーションをお守りがわりに渡して送り出しました。しかし一年後、使いの兵士からマルガリータの元に届いたのは、オルランドの戦死の知らせと、彼の血で赤く染まった萎びた白いカーネーションの花でした。
マルガリータは、哀しみにくれましたが、形見となったカーネーションの中に熟した種子があることに気づき、その種を取り出して蒔いてみます。するとそこからは、生前オルランドに送った花と同じく白い花が咲きましたが、不思議なことにその花の中心は、まるでオルランドの血を思わせるかのように、赤く染まっていたのだそうです。
生涯独身でとおしたマルガリータ。妹達には「結婚する相手以外の男性に、この花は与えてはダメよ。」と遺言を残してこの世を去りました。
かなしい伝説をもつカーネーションの花ですが、しかしキリストが生まれたときに初めて地上に現れた花ともされていますから、それは喜びの花でもあり、いずれも愛に満ちた慈悲深い花であることに、違いはないでしょう。
カーネーション 花言葉「あなたを愛します」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。