7月
ビゼー組曲『アルルの女』より「フェデリコの嘆き」
それは羊飼いのいつもの話だ。あわれな若者は、
それを話したがり、そして眠りにおちてしまう。
眠って、それを忘れてしまうんだ。何て羨ましい。
俺だって、そんな風に眠りたい、そして眠りの中で、せめて忘れたい。
俺はただ心の平和を得たいだけなのに。
すべてを忘れることができたら・・・だが、俺の努力は無駄だった。
あの人のやさしい面影がいつも俺の眼の前に現われ、
俺にはほんの束の間の平和があるだけ。
何故、俺はそんなに苦しまなければならないのか?
あの人は、いつもあの人は、俺の心に語りかける。
宿命の幻よ、離れてくれ。ああそうさ、
お前はそうやって俺に多くの不幸をもたらす。
ビゼー組曲『アルルの女』より「フェデリコの嘆き」
黄色バラ 花言葉「嫉妬」
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。