トケイソウ 花言葉「聖なる愛・信仰」

■ Passion flower ― キリスト受難の花
トケイソウ(Passion flower)は、その名のとおり「キリストの受難(Passion of Christ)」を象徴する花として、17世紀にヨーロッパへ伝わったといわれます。ひとつの花の中に、十字架の物語を思わせる象徴が隠されています。
- 葉は槍を象徴し、五つの葯はキリストの五つの傷を示す。
- 巻きひげは鞭を、子房の柱は十字架を、雄しべは木づちを表す。
- 三本の花柱は、キリストの手足を打ち付けた三本の釘の象徴。
- 花の中心にある肉質の線条は茨の冠、そして光背のように広がる萼は栄光を象徴。
その花色は純潔を表す白と、天を思わせる青。花はわずか三日間しか咲きません。その短い生を聖職の務めになぞらえ、儚くも深い意味を託された花なのです。
■ 聖書に記された「愛」
この象徴性は、キリスト教の「愛と信仰」と深く結びついています。聖書にはこんな一節があります。
「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、
私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされた。
ここに愛があるのです。」
パッションフラワーは、この無償の愛を象徴する花として、人々の心に受け入れられてきました。
■ 花言葉に込められた想い
トケイソウの花言葉は「聖なる愛」「信仰」。その姿と象徴から生まれた意味です。見る人によっては厳粛に、またある人にとっては深い癒しとして映るかもしれません。
花が語る物語を知ると、ただ美しいだけでなく、心に祈りや静けさをもたらす存在として感じられるでしょう。
■ さいごに
わずか三日間の命を燃やし、愛と信仰を映すように咲くトケイソウ。花が教えてくれるのは、「愛されている」という事実と、その愛を信じる力なのかもしれません。
今日もいちりんあなたにどうぞ
トケイソウ(パッションフラワー) 花言葉「聖なる愛・信仰」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。