10月
神様は秋雲の向こうに

ますます夕暮れが早く訪れる10月。なんとなく物足りなさを覚えながらの家路は、遊び足りないままに友達と別れた幼少の頃のそれと重なります。そう、西日の向こうに伸びた影絵のように。
この暮れゆく夕焼けに、何ともいえない切ないきもち、郷愁を感じるのは、実は日本人だけなのだそうです。高くなった空のなかで、太陽の赤が雲交じりにオレンジへピンクへ紫へと変わる秋模様。一日でもながく、この空に包まれていたいと思うのも、日本人だけなのでしょうか。
さびしさはその色としもなかりけり。槇立つ山の秋の夕暮 寂蓮
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。