青朽葉 青梅 日本の青 夏の青

FF087_L.jpg「朽葉色」という日本の色があります。平安時代からある色で字のまま「朽ちた葉の色」をさします。この朽葉色には「朽葉四十八色」と言われるほど多くの類色があり、枯れて大地に落ちた朽葉に、平安の人は季節の移ろい、情緒の深さを感じ取ったのでしょう。

色の一つ「青朽葉(あおくちば)」は緑がかった朽葉色で浅黄色にも似た渋い黄色です。秋の鮮やかな落葉とは違い、盛夏の盛り、緑色の茂る中で落ちていく朽葉の色のことをさします。

「枕草子」にも貴族の女の子の衣装である汗衫(かざみ)=(貴族の少女正装の上着)について「汗衫は春は躑躅(つつじ)、桜、夏は青朽葉(くちば)、朽葉」とあり、梅雨から夏の時期に着用された色のようです。

当時の「青色」には、空や海の色を表す現在の青色を指す場合と草木を表し緑系の色を指す場合があったようですね。
じっとりとした梅雨の季節、人の気持ちと反し雨を受けた木々や草はより鮮やかに緑を増しています。この爽快な季節感を受けとめた季語に「青梅雨」という言葉もあります。

青梅雨の深みにはまる思ひかな 石川桂郎