白百合(シラユリ) 花言葉「威厳」

興味がそそられることは何でも深入りしてみること。
それを大切にしなさい。
再発見し、(誰かに)提供し、どんなことをしても、
それがもう一度花開くよう努力することです。
ジャクリーヌ・デュ・プレ
ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945年1月26日 – 1987年10月19日)は、イギリスのチェロ奏者。幼い頃にラジオで聞いたチェロの音に魅了され、チェロ奏者の道を志します。
わずか16歳でチェロの名器として知られるストラディヴァリウスを貸与されるほどの名演奏家になりますが、20代で神経症状の悪化が進行し、若くして事実上の引退をしました。その後は後進の育成に尽力しますが、病の進行を止めることはできず、惜しまれつつも46歳の若さで亡くなります。
そんなジャクリーヌは、同郷であるエルガーの協奏曲の演奏で知られた名奏者でした。エルガーといえば『エニグマ変奏曲』や行進曲『威風堂々』などの楽曲で知られる作曲家ですが、もとは音楽教師であり、そしてバイオリニストでもあったようです。
エルガーといえば壮大なオーケストレーションをイメージします。それはベルリオーズやワグナーにも似た重厚な音楽性を感じるのもでして、その視点においては気に留めたことがなかった「チェロ協奏曲 」でしたから、私も興味をひかれました。そして聴けば、やはりエルガーらしさを感じさせる胸底にまで響き渡るような重音が美しく、すっかり聴き入ってしまいました。
さて話を戻し、私はジャクリーヌ・デュ・プレの言葉に出会い、そして彼女の生い立ちとエルガーの協奏曲を聴き、自然と「白百合」の花を思い浮べました。

白百合の花言葉は「威厳」そして「純潔」「無垢」。
この花の「威厳」という花言葉が、まさにジャクリーヌの言葉そして、エルガーの楽曲に重なったわけです。
写真のユリは「ホワイトトルネード」という名の百合で、ローズリリーと呼ばれる改良品種の一種です。ご覧の様に、まるでバラの様に幾重にも重なる花弁が、ローズリリーと呼ばれる所以でもあります。
よくみると、百合の花に特徴的な雄しべが見当たりません。そう花弁を汚す、あの誰もが嫌う「雄しべ」を取り除いた改良品種なんですね。といってしまっては、あまりに利己的・人工的にも聞こえますが、しかしこの美しさを目の当たりにすれば、称賛したくなる気持ちを抑えるなんて、それこそ不自然ではないでしょうか。
正直なところ、これまで白い百合に惹かれることは多くありませんでした。けれど今こうして眺めれば、まさしく威風堂々として映りますし、一方では哀しみを養分にして咲くように、蕾がひらくたびに哀惜の余韻が、香りとなって残る花にも思えます。
花が人の心を癒す、といいますが、それは花は花の立場から人間を眺め、傷んだ心が癒されることを、希望が抱けることを願って咲くからなのかもしれない。そんなことを思いました。
今日もいちりんあなたにどうぞ。
興味がそそられることは何でも深入りしてみること。
それを大切にしなさい。
再発見し、(誰かに)提供し、どんなことをしても、
それがもう一度花開くよう努力することです。
ジャクリーヌ・デュ・プレ

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。