デュランタ 花言葉「あなたを見守る」

七月も中旬にさしかかり、東京の空には夏の光が力強く注いでいます。
日差しをうけて葉を揺らす木々のあいだから、小さな紫の花が涼しげに揺れているのを見つけました。
暑さの中にふと現れるその彩りは、まるで「だいじょうぶだよ」とそっと語りかけてくるようです。
今日ご紹介するのは、そんなやさしさをまとった花――デュランタです。
デュランタについて
和名と英名:帝王紫(ていおうむらさき)/Duranta
学名:Duranta erecta
科名:クマツヅラ科(Verbenaceae)
属名:デュランタ属(Duranta)
原産地:メキシコ~南アメリカ
開花時期:6月~10月
デュランタは、夏から秋にかけて小さな花を房状に咲かせる低木です。
代表的な「デュランタ・タカラヅカ」は、深い紫の花弁に白い縁取りが入り、まるでベルベットのような風合いが印象的。
高温に強く、真夏の庭でも生き生きと枝を伸ばすたくましさがありながら、ひとつひとつの花はとても繊細で、気品ある佇まいを感じさせます。
花言葉
・あなたを見守る
・歓迎
・目をひく容姿
花言葉の由来
「あなたを見守る」という花言葉は、枝先から房のように咲くデュランタの花の姿に由来しています。
少し離れた場所から、やさしく見つめているようなその咲き方は、そばにいなくても心は寄り添っている――そんな想いを感じさせてくれます。
また、光沢のある紫色の花と黄金色の葉の組み合わせが美しく、「目をひく容姿」として、観賞用にも人気があります。
南国の太陽にも負けない色彩は、まさに「歓迎」の心をあらわすようです。
ひときわ強い日差しのなかでも、変わらず咲き続けるその姿は、大切な誰かを遠くからでも想い続ける「見守り」の象徴とも言えるでしょう。
やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず
山本五十六
山本五十六のこの言葉には、「信頼」という目に見えぬギフトが込められています。手を出さず、口を出さず、ただその人の努力や成長を見つめる。それは決して消極的な行為ではなく、愛情と敬意に満ちた能動的な姿勢です。
花が咲くまでの時間を待つように、人の実りも急かさず信じて待つこと。そんな言葉と受け止めています。大切なことはいつも花が教えてくれる。そんな思いです。
おわりに
デュランタの花を見ていると、言葉にしなくても通じるやさしさや、黙ってそばにいてくれる存在のぬくもりを思い出します。
誰かのために、ただそこに咲いている――そんな花の姿は、日々の暮らしの中でふと立ち止まりたくなる瞬間を与えてくれるようです。
この夏も、あなたのまわりに、そっと心を照らすような「見守りの花」が咲いているかも。ぜひ探してみてくださいね。
今日もいちりんあなたにどうぞ。

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。