4月
柳(やなぎ)

良い天気でした。暦ではまだ晩春にあり、初夏というには薄色の季感ですが、緑したたる柳の新葉が風に吹かれるのを眺めているだけで、胸の元まで夏のさざめが降りてきました。こうして花木を見るたび心気まで澄んで思えるのは、色に富んだ今時季と、秋のはじまりくらいでないかと思います。
うらもなく我が行く道に青柳の 張りて立てれば物思ひ出つも
よみ人しらず
これは「なんとなく歩いていたら、道に青柳が芽吹いていて、ふとあなたのことを思い出してしまいました」という歌。
花を見て思い出す人があるのは、自分においてもそうですが、柳をみて思い出す人、誰かいたかしら。思いつかずですが、しかしも鮮緑が美しい。眼には柳、季節の交差点、立ち止まってる今ここです。
良い週末を。
ヤナギ 花言葉「思いのまま」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。