11月
柊(ひいらぎ)

11月も半ばをすぎ、年末の足音が聞こえてくるこの季節、意識をしなくても心が時間に縛られていくのがわかります。それが自分にばかりか人にまで多くを求めたくなるから、良くないなあなんて反省もしきり。
身近な関係にある「違いを認める」ことは、自分自身の「感情を受け入れる」ことにはじまると思います。
余裕を欠くと同時に「寛容でいたい」なんて心境になったときには、植物に倣うのがいいとも。いまの季節なら柊。
柊(ひいらぎ)は字の通り冬にみる植物ですが、クリスマスの西洋ヒイラギ(holly)とは別種です。モクセイに似た花を咲かせ、その色は見入るほどに温かみのある白色をしていることがわかります。
柊と聞くと痛々しい葉を思い浮かべますけれど、よくみると葉が丸いことがあります。このトゲをつけずに丸くなるのは、その木が老いてきた証拠なんですって。また香りも老木ほど甘く熟した濃厚さ。おもわず誘いに乗ってしまいます。
節分で知ったヒイラギがこんな大らかな寛容的な植物だったなんて、若木のトゲをながめている限りには気づかなかったけれど、
人間も年を重ねていくと、こんなふうに丸くなっていくのかしら。柊に倣ってみましょうか。今日もいちりんあなたにどうぞ。
ヒイラギ 花言葉「用心深さ」

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。