5月
ボタン 花言葉「富貴」

牡丹花は咲き定まりて 静かなり花の占めたる位置のたしかさ
花びらの匂ひ映りあひ くれなゐの牡丹の奥のかゞよひの濃さ
この室のしづもりみだるものもなく 床の牡丹のほしいまゝに紅き
花になり紅澄める鉢の牡丹 しんとしてをり時ゆくまゝに
床の間のをぐらきに置く鉢の 牡丹白牡丹花は底びかりせり
花びらをひろげて大き牡丹花に 降り出の雨のぢかにぞあたる
牡丹花の大き花びら萼はなれ 低木の下の地に移りたる
低き木の大き牡丹花なくなりて その根の土に花びらぞある
木下利玄「牡丹と芥子」より
牡丹の花は「富貴」の象徴。百花の王と言われます。中国では様々な詩歌にうたわれてきましたし、日本でも着物や陶器、家具などの模様に、好んで使われてきました。「獅子に牡丹」といえば、取り合わせの良いもののたとえ。牡丹の花の下は獅子にとって安住の場所。百獣の王さえも、百花の王には安心して心を許すのです。旬の花は一人占めが楽しい。今日もいちりんあなたにどうぞ。
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店に勤務し帰国後、2002年 フラワーギフト通販サイトHanaimo開業。趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。