牡丹と萩 秋分の日に

 

母となり なほなつかしむ千代紙の
たぐひと見ゆる紅萩の花 
与謝野晶子

秋分を迎えました。春分の日と同様、昼と夜の長さがほぼ同じになる秋分の日は、仏の世界と現世がいちばん近くなる日とも考えられています。

春分が「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日であるのに対し、秋分は「先祖を尊び、亡くなった人をしのぶ日」。お彼岸ですね。

この時期にいただくお菓子「おはぎ」。「ぼたもち」と何が違うのか、季節か形か、なんて話を耳にします。諸説あるようですが、私が記憶してるのは、

春の牡丹(ぼた)餅は、花を模るように作るから丸くて大きい。対してお萩(はぎ)は小ぶりで長め。こちらは萩の葉を模したのかしら。

また小豆は夏に収穫しますが、秋はまだ粒が柔らかいので、そのまま粒で餡にしたのがお萩で、

冬を越した春の小豆はもう固く、粒のままでは使えないので、こし餡にして作られたのが牡丹餅、と聞きました。

和菓子には四季折々になぞられた美しいもの、花を模したもの、色々ありますけれど、思い出深さでいったら、このぼた餅のほかに無いと思う。

つぶしたり、丸めたり、ふざけて叱られたり、頬張ったり。

そんな懐かしい在し日を偲ぶための、彼岸であろうと思います。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

ハギ 花言葉「柔軟な精神」