猫を飼っている人に花を贈りたいあなたへ|安全な植物を選ぶためのガイド

Posted on 2025/05/17

もちろんです。猫も大切な「家族」であり、愛する存在。猫は、私たちの生活に癒しと愛を与えてくれます。しかし、猫を飼っている友人に花を贈りたいけれど、猫にとって安全なお花を選ぶことができるか不安に思うこともありますよね。なにしろ猫は好奇心が強いため、花や植物をかじったり舐めたりしてしまうことがあります。そのため、猫にとって有害な植物を避け、安全なお花を選ぶことがとても大切です。

安心して贈れるお花を選ぶことで、贈り物が猫にとっても友人にとっても嬉しいものとなり、心温まるひとときを届けることができます。この記事では、猫を飼っている友人に贈るお花選びのポイントを、猫の健康を守りつつお伝えしていきます。

猫ちゃんに有害な植物の例
ユリ, カスミソウ, ポインセチア, アイビー, シクラメン, アジサイ, タマリンド, ペチュニア, モンステラ, ミモザ, アロエ, スイセン, ヒヤシンス, チューリップ, ラナンキュラス, シャクナゲ

有害植物例:ユリ(Lilium spp.)、カサブランカ、オリエンタルリリー、チューリップ、アマリリス、グラジオラス

有害成分:全ての部分(花、葉、茎、花粉)に含まれる成分が猫にとって有毒です。

症状:摂取や花粉の接触により、急性腎不全を引き起こす可能性があります。腎機能が急激に低下し、最悪の場合、命を落とすことになります。

有害植物例:トマト、ナス、ジャガイモ、ホオズキ、ニオイバンマツリ、ペチュニア、ストック

有害成分:ソラニン、サポニン、アトロピン様物質など

症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、神経症状(震え、けいれん)などを引き起こすことがあります。

注意点:特に未熟な果実や葉、茎に高濃度の有害成分が含まれているため、注意が必要です。

有害植物例:ツツジ、シャクナゲ、サツキ

有害成分:アンドロメドトキシン、グリコシド類

症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、重篤な場合は心臓や神経系に影響を及ぼすことがあります。

注意点:花や葉に含まれる有害成分が猫にとって危険です。

有害植物例:アネモネ、ラナンキュラス、キンポウゲ

有害成分:プロトアネモニン、サポニン

症状:摂取すると、口腔内の刺激、唾液分泌の増加、嘔吐、下痢などを引き起こすことがあります。

注意点:花や葉、茎に有害成分が含まれており、猫が誤って摂取しないよう注意が必要です。

有害植物例:スイセン、ヒヤシンス、アマリリス

有害成分:リコリン、アマリリンなどのアルカロイド類

症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、重篤な場合は呼吸困難や心臓への影響が現れることがあります。

注意点:特に球根部分に有害成分が含まれているため、注意が必要です。

注意点:花や葉に含まれる有害成分が猫にとって危険です。

有害植物例:カーネーション、セキチク、カスミソウ

有害成分:サポニン、ギポセニン

症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振などの胃腸障害を引き起こすことがあります。

ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)

  • 有害成分:エウフォルビアトキシン
  • 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、口腔内の刺激、食欲不振が見られることがあります。

アイビー(Hedera helix)

  • 有害成分:ヘデラトキシン
  • 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすことがあります。

シクラメン(Cyclamen spp.)

  • 有害成分:シクラメノイド(特に根と花)
  • 症状:摂取すると、口腔内の刺激、嘔吐、下痢、腎不全の可能性があります。

アジサイ(Hydrangea spp.)

  • 有害成分:アニオン性物質(シアノジェン化合物)
  • 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、最悪の場合は昏睡状態に陥ることがあります。

タマリンド(Tamarindus indica)

  • 有害成分:不明(有害成分が不明ですが猫にとって有害)
  • 症状:摂取後、嘔吐や下痢が見られることがあります。

モンステラ(Monstera deliciosa)

  • 有害成分:カルシウムオキサレート
  • 症状:摂取すると、口腔内の刺激、唾液分泌の増加、腫れや痛みが生じます。

ミモザ(Mimosa spp.)

  • 有害成分:アルカロイド類(アミグダリン)
  • 症状:摂取後、嘔吐、下痢、呼吸困難、最悪の場合、昏睡状態に陥ることがあります。

アロエ(Aloe vera)

有害成分:アロイン

以下は猫にとって安全な植物、無害とされています。なおハーブ各種は、猫が摂取しても健康に害を与えることはありませんが、高い香り成分が含まれているため、過剰に摂取しないようにすることが大切です。一般的には猫が食べすぎない限り、心配は少ないとされています。

猫ちゃんに安全とされる植物の例
セントポーリア, キャットグラス, ヒマワリ, ゼラニウム, アフリカンデイジー, ガーベラ, サボテン, フィカス・アルティシマ, アフリカンバイオレット, スイートピー, フリージア, ベゴニア, ポトス, ハーブ各種(ローズマリー・ミント・レモンバーム・バジル・ラベンダー・タイム)

この品種リストは、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)と呼ばれる団体のサイトで、Non-Toxic Plant List for Catsとして公開されています。

淡い色の花が適しています。白やピンク、ラベンダー、クリーム色など、穏やかな色合いの花がご友人に安心感を与えます。これらの色は、悲しみに寄り添いながらも温かさを感じさせ、癒しの力を持っています。

猫を亡くされた方の中には、強い香りが苦手な方もいらっしゃいます。Hanaimoでは、香りの強い花は避け、香り控えめな花材(トルコキキョウ、カーネーション、スプレーマムなど)を選ぶようにしています。

例えば──

  • 「○○ちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
  • 「悲しみが少しずつ和らぎますように。」
  • 「また新しい日々を笑顔で迎えられますように。」

もし、自分の家に猫がいない場合でも、愛猫の健康を気にかけた配慮は、ご友人にとっても嬉しいものとなるはずです。

フラワーギフト専門店 Hanaimo(花以想)店主 鈴木咲子

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ式フラワーデザインに出会い、ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店でドイツ式フラワーデザインを習得。2002年 通販サイトHanaimo開業。

趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。