猫を飼っている人に花を贈りたいあなたへ|安全な植物を選ぶためのガイド

猫は私たちの大切な家族であり、その存在は日々の生活にたくさんの癒しを与えてくれます。そんな猫を飼っている方に贈る花を選ぶ際には、安全性が最も大切です。猫は好奇心旺盛で、時にはお花や葉を舐めたり、かじったりしてしまうこともあります。だからこそ、猫の健康に配慮した無害な花材を選ぶことが、贈る側としての優しさです。
この記事では、猫を飼っている方への贈り物として最適な、安全な花の選び方をご提案します。猫を亡くした方のもとには、残された猫ちゃんがいる場合もあります。そのような環境でも、大切な猫の健康を守りながら、美しいお花を楽しんでもらえるよう、心を込めたお花選びのヒントをお伝えします。
大切な想いを込めて贈り物を選び、少しでも心を癒すお手伝いができれば幸いです。
この記事の執筆者
Hanaimo(花以想)店主
目次
猫を飼っている友人に、お花を贈っても大丈夫?
もちろんです。猫も大切な「家族」であり、愛する存在。猫は、私たちの生活に癒しと愛を与えてくれます。しかし、猫を飼っている友人に花を贈りたいけれど、猫にとって安全なお花を選ぶことができるか不安に思うこともありますよね。なにしろ猫は好奇心が強いため、花や植物をかじったり舐めたりしてしまうことがあります。そのため、猫にとって有害な植物を避け、安全なお花を選ぶことがとても大切です。
安心して贈れるお花を選ぶことで、贈り物が猫にとっても友人にとっても嬉しいものとなり、心温まるひとときを届けることができます。この記事では、猫を飼っている友人に贈るお花選びのポイントを、猫の健康を守りつつお伝えしていきます。

猫にとって有害な植物とその理由
猫ちゃんに有害な植物の例 |
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ユリ, カスミソウ, ポインセチア, アイビー, シクラメン, アジサイ, タマリンド, ペチュニア, モンステラ, ミモザ, アロエ, スイセン, ヒヤシンス, チューリップ, ラナンキュラス, シャクナゲ |
猫は草食性ではなく肉食性の動物であり、植物を食べることが少ないとはいえ、時々葉や花を口にしてしまうことがあります。しかし、いくつかの植物は猫にとって非常に有害であり、命に関わることもあります。ここでは、猫に特に危険な植物と、その有害な成分について詳しく説明します。
ユリ科(Liliaceae)

有害植物例:ユリ(Lilium spp.)、カサブランカ、オリエンタルリリー、チューリップ、アマリリス、グラジオラス
有害成分:全ての部分(花、葉、茎、花粉)に含まれる成分が猫にとって有毒です。
症状:摂取や花粉の接触により、急性腎不全を引き起こす可能性があります。腎機能が急激に低下し、最悪の場合、命を落とすことになります。
ナス科(Solanaceae)

有害植物例:トマト、ナス、ジャガイモ、ホオズキ、ニオイバンマツリ、ペチュニア、ストック
有害成分:ソラニン、サポニン、アトロピン様物質など
症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、神経症状(震え、けいれん)などを引き起こすことがあります。
注意点:特に未熟な果実や葉、茎に高濃度の有害成分が含まれているため、注意が必要です。
ツツジ科(Ericaceae)

有害植物例:ツツジ、シャクナゲ、サツキ
有害成分:アンドロメドトキシン、グリコシド類
症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、重篤な場合は心臓や神経系に影響を及ぼすことがあります。
注意点:花や葉に含まれる有害成分が猫にとって危険です。
キンポウゲ科(Ranunculaceae)

有害植物例:アネモネ、ラナンキュラス、キンポウゲ
有害成分:プロトアネモニン、サポニン
症状:摂取すると、口腔内の刺激、唾液分泌の増加、嘔吐、下痢などを引き起こすことがあります。
注意点:花や葉、茎に有害成分が含まれており、猫が誤って摂取しないよう注意が必要です。
スイセン科(Amaryllidaceae)

有害植物例:スイセン、ヒヤシンス、アマリリス
有害成分:リコリン、アマリリンなどのアルカロイド類
症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、重篤な場合は呼吸困難や心臓への影響が現れることがあります。
注意点:特に球根部分に有害成分が含まれているため、注意が必要です。
ナデシコ科(Caryophyllaceae)

注意点:花や葉に含まれる有害成分が猫にとって危険です。
有害植物例:カーネーション、セキチク、カスミソウ
有害成分:サポニン、ギポセニン
症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振などの胃腸障害を引き起こすことがあります。
その他の植物
◎ ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)
- 有害成分:エウフォルビアトキシン
- 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、口腔内の刺激、食欲不振が見られることがあります。
◎ アイビー(Hedera helix)
- 有害成分:ヘデラトキシン
- 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすことがあります。
◎ シクラメン(Cyclamen spp.)
- 有害成分:シクラメノイド(特に根と花)
- 症状:摂取すると、口腔内の刺激、嘔吐、下痢、腎不全の可能性があります。
◎ アジサイ(Hydrangea spp.)
- 有害成分:アニオン性物質(シアノジェン化合物)
- 症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、最悪の場合は昏睡状態に陥ることがあります。
◎ タマリンド(Tamarindus indica)
- 有害成分:不明(有害成分が不明ですが猫にとって有害)
- 症状:摂取後、嘔吐や下痢が見られることがあります。
◎ モンステラ(Monstera deliciosa)
- 有害成分:カルシウムオキサレート
- 症状:摂取すると、口腔内の刺激、唾液分泌の増加、腫れや痛みが生じます。
◎ ミモザ(Mimosa spp.)
- 有害成分:アルカロイド類(アミグダリン)
- 症状:摂取後、嘔吐、下痢、呼吸困難、最悪の場合、昏睡状態に陥ることがあります。
◎ アロエ(Aloe vera)
症状:摂取すると、嘔吐、下痢、食欲不振、重篤な場合には腎不全を引き起こすことがあります。
有害成分:アロイン
猫が喜ぶ、安全な植物もあります
以下は猫にとって安全な植物、無害とされています。なおハーブ各種は、猫が摂取しても健康に害を与えることはありませんが、高い香り成分が含まれているため、過剰に摂取しないようにすることが大切です。一般的には猫が食べすぎない限り、心配は少ないとされています。
猫ちゃんに安全とされる植物の例 |
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セントポーリア, キャットグラス, ヒマワリ, ゼラニウム, アフリカンデイジー, ガーベラ, サボテン, フィカス・アルティシマ, アフリカンバイオレット, スイートピー, フリージア, ベゴニア, ポトス, ハーブ各種(ローズマリー・ミント・レモンバーム・バジル・ラベンダー・タイム) |
この品種リストは、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)と呼ばれる団体のサイトで、Non-Toxic Plant List for Catsとして公開されています。

猫を亡くした友人へのお悔やみ花の選び方|色合い・香り・安全性
「ペットロス」という言葉があるように、猫を亡くすことは想像以上に深い悲しみを伴うもの。そんな中、お花を贈ることは心を癒す手助けとなります。贈り物としての花は、言葉にならない思いを静かに届ける力があるため、心からの寄り添いを伝えるためにぴったりの方法です。
お花を贈る際には、相手の気持ちを最優先に考えることが重要です。特に、猫を亡くすことによる深い悲しみに寄り添えるよう、お花の種類を考慮して選びましょう。
色合いは「やさしいトーン」で
淡い色の花が適しています。白やピンク、ラベンダー、クリーム色など、穏やかな色合いの花がご友人に安心感を与えます。これらの色は、悲しみに寄り添いながらも温かさを感じさせ、癒しの力を持っています。

香りは控えめに
猫を亡くされた方の中には、強い香りが苦手な方もいらっしゃいます。Hanaimoでは、香りの強い花は避け、香り控えめな花材(トルコキキョウ、カーネーション、スプレーマムなど)を選ぶようにしています。
安全性も考慮
ペットを飼っている家庭では、猫にとって有害な植物を避けることも大切です。お花を選ぶ際には、上記の資料を参考に、安全な花材を選ぶように心掛けましょう。
メッセージを添えるべき?どんな言葉が適切?
お花を贈る際には、簡単なメッセージを添えることをおすすめします。短い言葉でも、**「あなたの悲しみに寄り添う」**という気持ちが伝わることが大切です。
例えば──
- 「○○ちゃんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
- 「悲しみが少しずつ和らぎますように。」
- 「また新しい日々を笑顔で迎えられますように。」
簡潔で心温まる言葉が、受け取る方に安らぎを与えます。ペットの名前を加えることで、より温かな印象を与えることができます。
まとめ|寄り添う気持ちをお花に込めて
猫を飼っている方、愛猫を亡くされたご友人へのお悔やみ花を選ぶ際には、何よりも猫にとって安全な植物を選ぶことが一番大切です。ユリ科やナス科、ツツジ科など、猫にとって有害な植物があることを知り、これらを避けることで、安心してお花を楽しんでもらえます。
もし、自分の家に猫がいない場合でも、愛猫の健康を気にかけた配慮は、ご友人にとっても嬉しいものとなるはずです。
Hanaimoでは、どのようなケースにおいても「贈り主様からのリクエスト」とともに「お届けする先への配慮」を欠かさずに、相応しいお花選びのお手伝いをいたしております。こんな時はどうすればいいのかな、と悩まれたときには、いつでもお気軽にご相談ください。


この記事の監修者
フラワーギフト専門店 Hanaimo(花以想)店主 鈴木咲子
インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ式フラワーデザインに出会い、ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店でドイツ式フラワーデザインを習得。2002年 通販サイトHanaimo開業。
趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。
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