遺作展にお花を贈る際のマナーと心を込めたメッセージ

Posted on 2025/05/12

遺作展や回顧展は、故人や作家の業績を称え、心から感謝を表す特別な機会です。このような場面で贈るお花は、感謝の気持ちや敬意を込めて選びたいもの。しかし、どんなお花を選ぶべきか、どのようなマナーが求められるのか、迷うことも多いでしょう。この記事では、遺作展にお花を贈る際の基本的なマナーや、心を込めたメッセージの例を紹介します。

遺作展に贈るお花は、故人や作家を偲ぶ気持ちを表現するため、丁寧な配慮を心がけています。ここでは、おすすめの花の種類と避けたほうがよい花をご紹介します。

  • 白い花:清らかで落ち着いた印象を与え、追悼の意を表すのにぴったりです。ユリ、カーネーション、トルコキキョウなどが一般的です。
  • 淡い色の花:淡いピンク、ブルー、ラベンダーなどの色合いが優しさを感じさせ、遺作展にふさわしい選択です。
  • 季節の花:春ならばスズラン、秋には菊など、季節感を大切にすることで、花を贈る意味がさらに深まります。
  • 赤や黄色など、華やかで祝祭的な印象を与える花は避けるのがマナーです。これらの色はお祝いの象徴となるため、追悼の場には不向きとされています。

遺作展に贈るお花の形式にも気を配りましょう。華やかすぎない、シンプルで落ち着いたデザインが好まれます。

  • シンプルなデザイン:お花の色合いや形に過剰な装飾は避け、故人や作家の業績に敬意を示すよう、シンプルで洗練されたデザインが適しています。
  • 控えめな大きさ:会場のスペースに合わせて、目立ちすぎない適切な大きさを選ぶと良いでしょう。

お花を贈るタイミングと場所にもマナーがあります。

タイミング場所
遺作展の開幕日に贈るのが一般的です。展示会の準備が整う前にお花を贈る場合は、事前に主催者に確認をとり、会場に飾ってもらえるようにしましょう。会場にはお花を飾る専用のコーナーやテーブルが設けられていることが多いため、指定された場所に贈ることが礼儀です。

お花にメッセージカードを添えることで、贈り主の気持ちをしっかり伝えることができます。以下のようなメッセージが遺作展にはふさわしいです。

シーン別メッセージ
感謝の気持ちを伝える○○先生の作品に触れるたびに深い感動を覚えました。この素晴らしい遺作展を通して、先生の想いと共に過ごすひとときに感謝しています。ご生前のご功績に心から敬意を表し、今後も先生の作品が多くの人々の心に残り続けることを願っています。
故人への追悼の気持ちを込める○○さんの遺作展を拝見し、これまでの素晴らしい作品の数々に深く感銘を受けました。そのすべてが、○○さんの優れた才能と情熱を物語っています。心よりご冥福をお祈り申し上げますと共に、○○さんの作品が永遠に人々の心に残ることを願っています。
思い出を大切にする気持ちを表現○○さんとの思い出が今も心に残っています。先生の作品を通して、数々の素晴らしい時間を共に過ごしたことを感謝しています。この遺作展を通じて、先生の想いが多くの方々に伝わり、さらに多くの人々がその偉大さに触れることができることを嬉しく思います。

遺作展では、宗教や文化による違いにも配慮する必要があります。特に、宗教的背景が異なる場合、お花の選び方やメッセージの言葉に注意を払うことが求められます。

宗教配慮
仏教仏教では、白や淡い色合いの花が好まれます。香りの強い花や派手なデザインは避けるのが一般的です。
キリスト教キリスト教では、華やかな印象の花が歓迎されることが多く、ユリやバラなどが選ばれることが多いです。

遺作展にお花を贈ることは、故人や作家への敬意を示し、心からの感謝と追悼の気持ちを伝える、すてきな心づかいです。花の選び方や贈るタイミング、形式に気を配ることはもちろん、心を込めたメッセージを添えることで、その想いがより一層深く伝わります。

ただの贈り物ではなく、作家や故人の思いを受け継ぐための「言葉」となり、展示会を彩る植物の存在。贈る花一つひとつが、関わる方の心に残り、展示を訪れる方々に感動を与えるものとして、永遠に記憶されることを願います。Hanaimoでは、どんな時も「丁寧に」「大切に」を心がけ、贈る方の気持ちがしっかりと表れるお花をご提案します。どんな場面でも、心を込めて選ばれたお花が、あなたの思いをしっかりと届けてくれることでしょう。

フラワーギフト専門店 Hanaimo(花以想)店主 鈴木咲子

インテリア系専門学校に進学後、進路転向し花の世界に。ドイツ式フラワーデザインに出会い、ドイツ人マイスターフローリストに師事。2000年に渡独、アルザス地区の生花店でドイツ式フラワーデザインを習得。2002年 通販サイトHanaimo開業。

趣味は読書、文学に登場する植物を見つけること。高じて『花以想の記』を執筆中。2024年 5月号『群像』(講談社)に随筆掲載。一般社団法人日本礼儀作法マナー協会 講師資格。