色で旅する、東南アジア5カ国の花贈り
「タイ、ラオス、マレーシア、ベトナム、カンボジア。東南アジアの5カ国をイメージしたアレンジメントは作れますか」。先日いただいたこのご相談は、私たちにとっても新鮮な問いかけでした。それぞれの国の花をそのまま集めるのは、正直なところ簡単ではありません。それでも花には、「色」というもうひとつの言葉があります。5つの国を色で描く、花以想なりの花贈りの考え方をお話しします。
「タイ、ラオス、マレーシア、ベトナム、カンボジア。東南アジアの5カ国をイメージしたアレンジメントは作れますか」。
先日、こんなご相談をいただきました。旅の記憶を花に残したい、その国に縁のある方へおくりたい――理由は違っても、ひとつの贈りものに5つの国を込めたいという発想をお持ちになる方は、きっと他にもいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、私たちがどうお応えしたか、また今後のご参考になるよう、花贈りの考え方とあわせてご紹介します。

目次
それぞれの国を象徴する花
まず、5カ国にはそれぞれ、その土地を代表する花があります。色や香り、文化的な意味あいまで、どれも個性的です。
国 | 花 | 特徴 |
|---|---|---|
| タイ | ラーチャプルック | 黄色い花を房状に咲かせる、ゴールデンシャワーツリー。王室や繁栄の象徴とされます。 |
| ラオス | ドクチャンパ | 白や黄色の香り高い花。プルメリアとして知られ、寺院や街路でよく見られます。 |
| マレーシア | ハイビスカス | 鮮やかな赤が印象的。現地では「ブンガ・ラヤ」と呼ばれます。 |
| ベトナム | ハス | 泥の中から清らかに咲くことから、高潔さの象徴とされています。 |
| カンボジア | ロムドゥオル | 小さく甘い香りを持つ花。伝統的な文学や歌にもたびたび登場します。 |
「国の花」をそのまま届けることの難しさ
こうして並べてみると、5つの花をそのまま束ねたくなります。けれど正直に申し上げると、これらを切り花として日本で安定して揃えるのは、なかなか難しかったりします。
プルメリアやハイビスカスは南国の生花としては存在しても、アレンジメントに使える状態で確実に入荷するとは限りません。ハスやロムドゥオルにいたっては、入手そのものが現実的とは言えないのが実情です。
「ご希望に沿えません」とお断りするのは簡単。でも、お客さまが本当に届けたいのは、植物の名前ではなく、その国が持つ空気感のはず。そう考えて、私たちは別の方法をご提案できるよう考えました。花の種類ではなく、色とまとう雰囲気で、それぞれの国を描くというのはどうだろう。
花の“色”で、その国らしさを描く
5カ国の印象を、色と雰囲気に置き換えると、こんなふうに整理できます。
タイ ― 明るい黄色で華やか
房状に咲くゴールデンシャワーの黄色を主役に。オンシジュームの小花が連なる姿は、あの花房の軽やかさをよく思わせます。ひまわりや黄色のガーベラを添えれば、明るく開放的な表情になります。

ラーチャプルック。黄色い花を房状に咲かせる、王室や繁栄の象徴とされる花。

オンシジュームは、小さな王女がダンスしてるかのよう。
ラオス ― 南国らしい甘い香り
プルメリアの淡いピンクから白、中心の黄色へと続くやわらかなグラデーションを、色で再現します。スイートピーやフリージア、芳香系のスプレーバラで「甘い香り」までそっと添えられます。

ドクチャンパは白や黄色の香り高い花。プルメリアとして知られ、寺院や街路でよく見られます。
マレーシア ― 情熱的な赤
ハイビスカスの鮮烈な赤を、つやのある花で表現します。赤いガーベラやダリア、アンスリウムを主役にすると、生命力あふれる南国らしい力強さが生まれます。

ハイビスカスは南国花の象徴。


ベトナム ― 清楚で上品
泥より出でて清らかに咲く蓮の気高さを、白と緑の清涼感で。白いトルコキキョウやバラにグリーンを効かせると、凛とした上品さがまとまります。

泥の中から清らかに咲くことから、高潔さの象徴とされる蓮の花。

カンボジア ― 優雅で繊細
小さく甘く香るロムドゥオルの趣を、淡いクリーム色の小花で。小輪のスプレーバラやブバルディアに繊細なグリーンを合わせ、奥ゆかしく優雅な表情に仕上げます。

カンボジアの国花「ロムドゥオル」

オレンジ色のスプレーバラをいれると、温かみある雰囲気に。
5つの色を、ひとつの花束にまとめる
黄・赤・ピンク・白・クリーム。並べると、けっして奇をてらわない、明るくおおらかな色合いです。だからこそ私たちは、全体を温かみのある、華やぎのあるトーンでまとめることをご提案しました。
5つの国を均等に主張させるのではなく、明るい色を土台に、赤を一点の差し色として効かせる。そうすることで、ばらばらの寄せ集めではなく、「東南アジアという、ひとつの大きな光の方向」を感じられる花束になります。一輪一輪が違う国を背負いながら、ひとつの空気の中で響き合う――そんなアレンジメントを思い描いています。

テーマのある花贈りを、花以想がお手伝いします
今回のような「テーマのあるアレンジメント」は、既製のギフトにはない難しさと、何より楽しさがあります。花以想では、こうしたご相談を一つひとつうかがいながらお作りしています。
花以想にご相談いただけること
- LINEでのご相談――旅の写真や、思い描く雰囲気をお送りいただければ、色合わせから一緒に考えます。
- 発送後のお写真共有――お作りした花の仕上がりを、発送後にお写真でお送りします。どんな表情になったかをお手元でご覧いただけます。
- メッセージカードのご用意――贈る背景に合わせて、添える言葉もご一緒に。
「こんなイメージは花にできますか」という入り口で構いません。形になるかどうかも含めて、まずはお気軽にお寄せください。
花は、その土地へ実際に行かなくても、色や香りで記憶や憧れを連れてきてくれます。今回のご依頼は、私たちにとっても、花の伝える力をあらためて考えるきっかけになりました。あなたの心の中にある風景を、花の色に置き換えてみる。そんな花贈りを、これからもご一緒できたらうれしく思います。

